蒼色の月明かりの下で

心に残る昔の名画。

シマロン

(ドラマ/西部劇)

『 シマロン 』
原題 : Cimarron
製作 : 1931年
製作国 : アメリカ
アカデミー作品賞受賞

1889年4月12日。それはウクラホマに於いて競争によって土地の分割占有権を決める日であった。数千の各種の車馬がその競争に加わった。ヤンシー・リーという娘の欺かれその土地を先有せられてしまった。彼は故郷のウィヒタに帰りウクラホマに移住することを力説したが彼の意見に同意をしたものは彼の妻セイプラ一人であった。斯くて家族の反対を押し切ったクラヴァラ夫婦は総領息子のシムと、イザイアという黒坊の子供とだけを連れて九日九晩の旅を続けた後にオセイジの町に辿り着いた。ヤンシーはこの町で新聞社を起こす意志であったが、最近この町で新聞を発行していた者が何者かに殺害せられたと聞き、日頃正義の魂に燃ゆる彼は騒然としてそこに暴力団に抗し益々新聞社を起こす意志を固めた。これ以後該殺害事件の容疑者と目せられているロン・ヨウンディスと彼との間には明らさまなる敵視状態が続いたが、日曜日ヤンシーの開いた説教の集会に於いてロンはヤンシーの反り弾で殺された。一年後、オセイジの町に於いてヤンシーの新聞は確たる地歩を占め、これと時を同じうして彼は一娘をもうけた。この年キッドと異名をとった強賊が部下と共にこの町の銀行を襲撃したが彼は単身それを迎え悪戦の後に彼らを撃減した。キッドには懸賞金一万ドルが懸かっていたのであるが彼はそれをこともなげに突き返した。三年後、じっとしていることの出来ぬヤンシーは突然風のように妻と子を残してこの町を去って行ったが、彼が1898年に帰って来た時には米西戦争の軍服を着ていた。が、彼は今はこの町の政界に於いても有力の一人となっていた妻との体面をすます間もなく、直ちに公衆指弾の的となって法廷に立たされていたディキシー・リーの弁護に立ち、雄弁と正義感とを以て彼女を無罪放免となさしめた。それから九年の後、1907年、ウクライホマは合衆国に合併されたが、インディヤンたちは石油から得た金により富有であったので白人と婚することを得、従って彼らは社会的にも白人と同じ地位を占むるに至った。これを見たヤンシーは己がインディヤンのために尽くす仕事も終わったことを知り、再び他に己が指名を果たす地を求めこの地を去って行った。それからまた年が経って、ウクライホマ開拓者ヤンシー・クラヴァットの像がオセイジの町で除幕された時、今は年老いたセイプラは傍らに愛息愛娘を伴って晴れの式場に臨んだが、未だに行方の知れぬ夫ヤンシーを想もっては自ら感慨の禁じ難いものがあった。その時、石油工場に於いて多勢の人々を助けるために犠牲となった重傷者の出た知らせがあった。その天晴れな男はヤンシー爺として人に知られている老人であると聞きセイブラは急ぎそぬお式場に駆けつけたが、それは彼女が久しく見なかった夫ヤンシーの差愛護を見るだけのものであった。



スタッフ :
監督 : ウェズリー・ラッグルズ
原作 : エドナ・ファーバー
脚本 : ハワード・エスタブルック
台詞 : ハワード・エスタブルック
撮影 : エドワード・クロンジェガー
美術 : マックス・リー

キャスト :
ヤンシー : リチャード・ディックス
セイブラ : アイリーン・ダン
ディクシー : エステル・テイラー
トレイシー : エドバ・メイ・オリバー
リッキー : ロスコー・エイツ
ソル・レビー : ジョージ・E・ストーン
フェリス : ナンス・オニール
キッド : ウィリアム・コリアー・Jr
[ 2017/10/30 14:00 ] 西部劇 | TB(-) | CM(0)

ブロードウェイ・メロディー

(ドラマ/ミュージカル)

『 ブロードウェイ・メロディー 』
原題 : Broadway Melody
製作 : 1929年
製作国 : アメリカ
アカデミー作品賞受賞

2年ぶりでニューヨークに帰って来た歌唄いのエディは、ザンフィールド一座の新しいレビュー「ブロードウェイ・メロディー」で新作の歌を唄うことになった。彼は愛人のハンクとその妹のクィーニイを招いてザンフィールド一座の舞台に出るように計らってやる。エディはクィーニイの美しく成育した姿とその優しい心を見て、たちまち心を奪われてしまった。クィーニイもまたエディを憎からず思うのであったが、姉ハンクがエディを真底想っているのを見て、自分の恋を犠牲にして姉とエディとを早く一緒にさせようと決心する。代役で舞台に立ったクィーニィは、その美しさからたちまち人気者となり、ジャックという不良紳士に言い寄られる。エディを忘れるためジャックと飲み廻ったり遊び歩いたりするクィーニィを、エディは黙って見てはいられなかった。そして姉のハンクもクィーニイの将来を心配して、折をみてはクィーニィに意見をした。しかしクィーニィは、2人にそうされればされるほど頑なに心を閉ざしてジャックのところへ行くのであった。ある夜、クィーニィがジャックの世話になり、高級マンションに移り住むという噂を耳にしたエディは、ハンクの前でクィーニィを激しく責めると、クィーニイはその噂を肯定して飛び出してしまった。その時、姉のハンクはエディとクィーニイとが互いに愛していながら自分に気兼ねしていることを初めて悟る。そしてハンクはエディに、舞台で役を得るために利用しただけで、最初から結婚する気はなかったと言う。エディは初めて救われた気持ちになり、クィーニイをジャックの手から連れ戻しに乗り込んで行く。反対にジャックに殴られるエディだったが、クィーニィの愛はしっかり掴むことができた。2人の幸福そうな様子を見てハンクは涙を笑いにまぎらし、自分のマネージャーになっているバーニー叔父の計らいで、別な舞台を求めて1人出てゆくのであった。



スタッフ :
監督 : ハリー・ボーモン
原作 : エドモンド・グールディング
脚色 : サラ・Y・メイソン
台詞 : ノーマン・ヒューストン、ジェームズ・グリースン
撮影 : ジョン・アーノルド
音楽 : ナシオ・ハーブ・ブラウン

キャスト :
エディ・カーンズ : チャールズ・キング
クィニー・マホーニー : アニタ・ペイジ
ハンク・マホーニー : ベッシー・ラヴ
ザンフィールド : エディ・ケイン
ジャック・ウォリナー : ケネス・トンプソン
フロー : メアリー・ドーラン
[ 2017/10/28 14:00 ] ミュージカル | TB(-) | CM(0)

嵐が丘

(ドラマ/ヒューマン)

『 嵐が丘 』
原題 : Wuthering Heights
製作 : 1939年
製作国 : アメリカ

英文学史上の名作の1つに数えられるエミリー・ブロンテの小説より。
北イングランドに「嵐ケ丘」と呼ばれる荒涼たる邸があった。当主のアンショウ(セシル・ケラウェイ)は慈悲心に富んだ老紳士で、リヴァープールへの旅の途中で飢えていたジプシーの少年を拾い、ヒースクリフと名づけ家族の一員に加えた。アンショウには息子のヒンドリーと娘のキャシーがいたが、ヒンドリーはヒースクリフを憎悪し、ことあるごとに虐待した。男優りのキャシーはヒースクリフと親しく、ペニストーンの岩を2人の城になぞらえ、よく遊んだ。アンショーの死後、嵐ケ丘の当主となったヒンドリー(ヒュー・ウィリアムズ)はヒースクリフ(ローレンス・オリヴィエ)を邸内から厩舎に追い出してしまったが、キャシー(マール・オベロン)とヒースクリフはお互いに将来への希望を抱き合っていた。そして時が流れた。ヒンドリーは酒と女に放埓な日々を送り、キャシーはヒースクリフに激しく惹かれながらも、華やかな上流生活に憧れた。2人はリントン家の舞踏会を見にゆき、キャシーは犬に噛まれて大怪我をし、リントン家に留まって手当てをすることになった。リントン家の嗣子エドガー(デイヴィッド・ニーヴン)は美しいキャシーに求婚した。キャシーはヒースクリフとエドガーのいずれにわが身を托すべきか迷い、召使のエレン(フローラ・ロブソン)にその気持ちを打ち明けるが、自分はヒースクリフと一身同体であり、彼と別れられないことを悟る。しかし、ヒースクリフはキャシーの気持ちを誤解して、嵐ケ丘から姿を消した。キャシーはエドガーと結婚した。2年後、ヒースクリフは南米で成功し、見違える姿で嵐ケ丘に戻った。彼は酒で財産を蕩尽したヒンドリーから嵐ケ丘を買いとり、リントン一家への復讐の実行の機会を待っていた。彼はエドガーの妹イザベル(ジェラルディン・フィッツジェラルド)に言い寄り求婚した。キャシーにはヒースクリフの企てが判っていた。彼女の忠告を受けたイザベルは、義姉が嫉妬の余りにヒースクリフを中傷するのは止めてほしいと言い放って、嵐ケ丘の女主人となった。しかし、イザベルは女中にも劣る悲惨な待遇を受ける。やがてキャシーは病床に就き、ヒースクリフこそ本当に愛する人だったと告白して逝った。ヒースクリフはキャシーの遺骸に、自分の生ある限り亡霊となって訪ねてくれと絶叫した。そして吹雪の夜、彼はキャシーの亡霊の呼び声に憑かれた者のようにペニストーンの岩の下まで行き、息絶えたのである。



スタッフ :
監督 : ウィリアム・ワイラー
製作 : サミュエル・ゴールドウィン
原作 : エミリー・ブロンテ
脚色 : ベン・ヘクト、チャールズ・マッカーサー
撮影 : グレッグ・トーランド
音楽 : アルフレッド・ニューマン
美術 : ジェームズ・バセヴィ
編集 : ダニエル・マンデル
衣装 : オマー・キーム

キャスト :
キャシー : マール・オベロン
ヒースクリフ : ローレンス・オリヴィエ
エドガー・リントン : デヴィッド・ニーヴン
イザベラ・リントン : ジェラルディン・フィッツジェラルド
エレン・ディーン : フローラ・ロブソン
ヒンドリー・アーンショー : ヒューゴ・ウイリアムズ
ケネス医師 : ドナルド・クリスプ
[ 2017/10/26 14:00 ] ヒューマン | TB(-) | CM(0)

風と共に去りぬ

(ドラマ/ヒューマン)

『 風と共に去りぬ 』
原題 : Gone With the Wind
製作 : 1939年
製作国 : アメリカ
アカデミー作品賞受賞

ベストセラーになったマーガレット・ミッチェル原作小説の映画化。
前篇=1861年、南北戦争が始まろうとする直前。ジョージア州タラの大地主ジェラルド・オハラ(トーマス・ミッチェル)の長女スカーレット(ヴィヴィアン・リー)は、樫の木屋敷と呼ばれる同じ大地主ウィルクス家で明日開かれる野外宴会に、そこの嫡子で彼女の幼馴染みであるアシュリー(レスリー・ハワード)と彼の従妹メラニー(オロヴィア・デ・ハヴィランド)の婚約が発表されると聞いて心おだやかでなかった。激しい気性と美しさをあわせ持つスカーレットは、多くの青年の憧れの的であったが、彼女の心はアシュリーとの結婚をかたく決意していたのだ。宴会の当日スカーレットは想いのたけをアシュリーにぶちまけたが、彼の心は気立ての優しいメラニーのものだった。スカーレットはそこで、チャールズトン生まれの船長で素行の評判の良くないレット・バトラー(クラーク・ゲイブル)に会い、彼の臆面のない態度に激しい憎しみを感じながら、何か惹きつけられた。突然、戦争の開始が伝えられ、スカーレットは失恋の自棄からメラニーの兄チャールズの求婚を受け入れ結婚した。メラニーと結婚したアシュリーもチャールズも戦争に参加した。だがチャールズは戦争で病を得て死に、スカーレットは若い身を喪服に包む生活の味気なさからアトランタのメラニーの元へ行き、陸軍病院のバザーでレットと再会した。レットは強引に彼女に近付いてきた。戦況はその頃南軍に利なく、スカーレットとメラニーは看護婦として働いていたが、やがて、アトランタは北軍の接近に脅えた。スカーレットと生まれたばかりの子供を抱えたメラニーは、レットの御する馬車で故郷へと向かった。レットは途中ひとり戦線へ向かい、のこされた2人はやっとの思いでタラの地に着くが、すでに廃墟になって、北軍にすっかり蹂躪されたあとだった。

後篇=戦争は南軍の敗北に終わった。捕虜になっていたアシュリーがかえって来てメラニーを喜ばせたが、スカーレットは再び彼に愛を告白してはねつけられた。タラは重税を課され、土地を守る決意を固めたスカーレットは、その頃北軍の営倉に捕らえられていたレットに金策を頼みに行ったが、断られた。彼女は妹スーレン(イヴリン・キース)の許婚フランクが事業に成功しているのを見て、欺いて彼と結婚し、事業を自分の手中に収めてアシュリーを仲間に引き入れ、唯金儲けだけに生きるようになった。フランクが死んで、スカーレットはレットと結婚し、娘ボニーを生んだが、まだアシュリーへの想いが断ち切れず、レットはもっぱらボニーへ愛情を注いだ。こうした結婚生活の不調和から、レットはボニーを連れロンドンへ行ったが、ボニーが母を慕うので再び戻ってきた。ところがボニーが落馬して死に、メラニーも病死してしまった。このためレットとスカーレットの結婚生活はまったく破れ、レットはチャールズトンへと去っていった。スカーレットはこのとき初めてレットを愛していたと気付くが、一番愛しているのはやはりタラの土地であった。彼女はタラに帰ってすべてを考え直そうと決心した。



テーマ曲 : ターラのテーマ


スタッフ :
監督 : ヴィクター・フレミング (アカデミー監督賞受賞)
脚本 : シドニー・ハワード
原作 : マーガレット・ミッチェル
製作 : デヴィッド・O・セルズニック
音楽 : マックス・スタイナー
撮影 : アーネスト・ホーラー、レイ・レナハン
編集 : ハル・C・カーン、ジェームズ・E・ニューカム

キャスト :
スカーレット・オハラ : ヴィヴィアン・リー (アカデミー主演女優賞受賞)
レット・バトラー : クラーク・ゲーブル
アシュレー・ウィルクス : レスリー・ハワード
メラニー・ハミルトン : オリヴィア・デ・ハヴィランド
ジェラルド・オハラ : トーマス・ミッチェル
エレン・オハラ : バーバラ・オニール
マミー : ハティ・マクダニエル (アカデミー助演女優賞受賞)
スエレン・オハラ : イヴリン・キース
キャリーン・オハラ : アン・ラザフォード
ミード医師 : ハリー・ダベンボート
ピティパットおばさん : ローラ・ホープ・クルーズ
フランク・ケネディ : キャロル・ナイ
ベル・ワトリング : オナ・マンスン
ボニー・バトラー : カミー・キング
[ 2017/10/24 14:00 ] ヒューマン | TB(-) | CM(0)

ヴィクター・フレミング

(スタッフ/監督)

『 ヴィクター・フレミング 』 Victor Fleming

生年月日 : 1889年02月23日
没年月日 : 1949年01月06日( 59 歳没)
出生地 : アメリカ合衆国カリフォルニア州ラ・カナダ・フリントリッジ
死没地 : アメリカ合衆国アリゾナ州コットンウッド
職業 : 映画監督
活動期間 : 1910年~1948年
主な作品 :
『オズの魔法使』
『風と共に去りぬ』
受賞 :
アカデミー賞
監督賞
1939年『風と共に去りぬ』

ヴィクター・フレミング

自動車に興味を抱き、カーレーサーに転身し、またメカニックとしても活躍した。この頃、映画監督のアラン・ドワンの愛車を修理したことがきっかけでドワン監督と親しくなり、1910年に撮影アシスタント兼カー・スタントマンとして映画業界に入る。翌年には助監督、1915年ごろから撮影監督となり、ドワン監督やD・W・グリフィスの作品に参加する。
1916年、アメリカ陸軍所属の写真家として活躍したのち、1919年の「 暗雲晴れて 」で映画初監督。ダグラス・フェアバンクス主演の冒険映画を多く監督した。1922年にパラマウント映画と契約し、当時絶大な人気のあったクララ・ボウ主演の「 フラ 」やドイツの名優エミール・ヤニングスのハリウッド・デビュー作にして第1回アカデミー主演男優賞の名誉を与えた「 肉体の道 」などを手掛ける。その後、1930年にフォックス社に移籍。1932年にメトロ・ゴールドウィン・メイヤーに入り、1932年の「 紅塵 」や1933年の「 爆弾の頬紅 」とヒット作を世に放つ。このヒット以降、MGM上層部からもその実力を信頼される第1級の監督として「 ホワイト・シスター 」、「 宝島 」、スペンサー・トレイシーがアカデミー主演男優賞した「 我は海の子 」、「 テスト・パイロット 」を手掛けて、あらゆるジャンルの作品でその特異な才能を遺憾なく発揮した。1939年に「 オズの魔法使 」と「 風と共に去りぬ 」という世界映画史に燦然と輝く名作を世に送り出す。そして「 風と共に去りぬ 」では、作品賞・監督賞など9部門を受賞した。これにより名声を得たフレミングだが、実際、本作は彼以外にもジョージ・キューカー他複数の監督が部分ごとに演出をしている。

主な監督作品 :
1919年 暗雲動く時 : When the Clouds Roll By
1924年 海の掟 : Code of the Sea
1925年 絶壁に闘ふ : A Son of His Father
1927年 肉体の道 : The Way of All Fresh
1927年 フラ : Hula
1929年 ヴァージニアン : The Virginian
1930年 泥人形 : Common Clay
1931年 ダグラスの世界一周 :
 Around the World in 80 Minutes with Douglas Fairbanks
1932年 紅塵 : Red Dust
1933年 爆弾の頬紅 : Bombshell
1933年 ホワイト・シスター : The White Sister
1934年 宝島 : Treasure Island
1937年 我は海の子 : Captains Courageous
1938年 テスト・パイロット : Test Pilot
1939年 オズの魔法使 : The Wizard of Oz
1939年 風と共に去りぬ : Gone with the Wind
1941年 ジキル博士とハイド氏 : Dr. Jekyll and Mr. Hyde
1945年 冒険 : Adventure
1948年 ジャンヌ・ダーク : Joan of Arc
[ 2017/10/22 14:00 ] 監督 | TB(-) | CM(0)

駅馬車

(ドラマ/西部劇)

『 駅馬車 』
原題 : Stagecoach
製作 : 1939年
製作国 : アメリカ

西部劇ではあるが、物語は駅馬車に乗り合わせた人々の人間模様が中心で、終盤にアパッチ襲撃と決闘という2つのクライマックスが描かれている。
1885年頃、アリゾナのトントから今のニューメキシコのローズバーグまでの路は、荒野を駅馬車で横切って、たっぷり2日を要した。大男のくせに臆病な馭者バックのあやつる馬車が、今その旅程へ出発しようとしている。ルシイ・マロリーは軍隊にいる夫の許へ行くため、身重の体でヴァージニアから来た若い妻である。ウィスキー行商のピーコックはカンサスにいる妻子の許へ帰る途中だ。呑んだくれの医師ブーンは、宿屋から叩きだされたので瓢然とこの車に乗込む。自ら紳士を以て任じている大賭博師のハットフィールドは、淑女ルシイに心ひかれ、危険な道中を護衛しようと同乗する。もう1人の女ダラスは、新開地を流れ歩く酒場女で、今日この町の矯風会のお婆さんたちから追立てられ、やむなくこの車に乗った。この一行を護衛するのは警察部長カーリーで、彼は脱獄囚リンゴウ・キッドを捕える目的をも持っている。途中はアパッチ族の反乱があって連絡の電信が切断されている。次の駅までブランシャール中尉の率いる騎兵隊が送って行くことになった。トントの町はずれで、黒鞄を大事そうに抱えた銀行家ゲートウッドが乗込んだが、ローズバーグから電報が来たので急行するという彼の言葉に、カーリーは疑いを抱いた。荒漠たる平原を進んでいる時、前方から馬車を止めたのはリンゴウ・キッドだった。彼の父と弟を殺した上、彼に濡衣を着せて投獄したブラマー3兄弟を討つため、リンゴウはローズバーグへ向かう途中だった。カーリーはともかく彼を馬車に乗せて同行せしめることにした。馬車はドライ・フォークの駅へ着いたが、迎えるはずのルシイの夫は、インディアンの襲撃に逢って負傷しローズバーグへ運ばれていた。ダラスはルシイやハットフィールドやゲートウッドにさげすまれたが、リンゴウはやさしく彼女をいたわってくれた。ここで軍隊と別れ、馬車は護衛もなく不安にかられつつ夕刻アパッチ・ウエルスに着いた。その夜ルシイが産気づいた。ブーン医師は酔をさまして大奮闘をした。そして無事に女の子が生れたが、ダラスの夜を徹した看護に、ルシイは己を恥じて感謝の涙を流した。その夜リンゴウはダラスに結婚を申込んだ。世間の裏街へ追いこまれた同じ運命が、2人を堅く結びぐけたのである。ダラスは涙の出るほどうれしかったが、彼をカーリーの手から逃すため逃亡をすすめ、自分も後から行くと話すのだった。しかし次の朝、カーリーが逃亡を知って駆付けた時、リンゴウはインディアン襲撃の信号を見てカーリーに知らせた。産婦の身を動かすのは危ないが、今は一刻も猶予できない。一行は直ちに馬車を走らせ、不気味な荒野を突切って壊された渡し場を無事に越えた。ホッと一安心した瞬間、毒矢がピーコックの胸にささり、インディアンの一隊が襲撃して来た。必死に馬車を走らせながら、すさまじい争闘が始まったが、すでに弾丸がつきてしまった。ハットフィールドはせめてもの情けと最後の一発をルシイに向けた時、原就眠の弾丸に当って死んだ。その時救援隊のラッパが聞え彼らはかろうじてローズバーグへ到着した。ルシイは夫の許へ、ピーコックは病院へ、ハットフィールドは墓地へ運ばれ、ゲートウッドは公金拐帯で警官に拘引された。リンゴウは夜の町で見事に3兄弟を射って仇を取り、カーリーの情けでダラスと2人、馬車で国境を越えて新生活へ出発した。



スタッフ :
監督 : ジョン・フォード
脚色 : ダドリー・ニコルズ
原作 : アーネスト・ヘイコックス
製作 : ウォルター・ウェンジャー
撮影 : バート・グレノン、レイ・ビンガー
音楽監督 : ボリス・モロス
録音 : フランク・マー
編集 : ドロシー・スペンサー、オソー・ラヴァリング
作曲 : リチャード・ヘイゲマン

キャスト :
リンゴ・キッド : ジョン・ウェイン
ダラス : クレア・トレヴァー
ブーン医師 : トーマス・ミッチェル (アカデミー助演男優賞受賞)
カーリー保安官 : ジョージ・バンクロフト
バック : アンディ・ディバイン
ルーシー・マロリー : ルイーズ・プラット
ハットフィールド : ジョン・キャラダイン
ピーコック : ドナルド・ミーク
ゲートウッド : バートン・チャーチル
ルーク・プラマー : トム・タイラー
騎兵隊中尉 : ティム・ホルト
[ 2017/10/20 14:00 ] 西部劇 | TB(-) | CM(0)

テンプルちゃんの小公女

(ドラマ/児童文学)

『 テンプルちゃんの小公女 』
原題 : The Little Princess
製作 : 1939年
製作国 : アメリカ

「小さな王女さま」と人々から可愛いがられる少女セーラをめぐり、親子の愛、動物や友達との交流を描く。
クルー大尉(アイアン・ハンター)と娘のセーラ(シャーリー・テンプル)が長年住みなれたインドから祖国イギリスのロンドンに戻ってきた。大尉はセーラを名門の寄宿学校に預け、新しい任地へと向った。クルー親子の財産に愛想を振りまくミンチン先先(メアリー・ナッシュ)は、セーラに特に気をつかい世話をする。セーラが楽しい学校生活を送っている時、ある日突然、不幸なニュースが入った。それは、父親の戦死の知らせだった。セーラに遺産のないことを知ったミンチン先生は、急に態度が変わり、セーラを学校から追い出し、召し使いのベッキー(シビル・ジェーソン)ともども召し使いとして屋根裏部屋に住まわせた。しかし、セーラはくじけず昼も夜も一所懸命慟いた。そして、父親の生存をひたすら信じ、陸軍病院を訪ねては父親を探しまわった。そんな毎日を送っていたセーラは、ある日女王様になった夢を見た。その夢から醒めると部屋が見違える程美しくなっており、テーブルには御馳走が並べてあった。実は、それは、隣の家の主人が、セーラの身の上を知ってプレゼントしたものだった。セーラが盗みをしたと思ったミンチン先生は、警察を呼んだ。必死な思いで病院に逃げ込んだセーラは、そこで戦傷者として収容されていた父親にめぐり会った。しかしクルー大尉は記憶を失っており、セーラの事を覚えていない。父の胸に頬をうづめ、必死に名を呼ぶセーラの姿に、クルー大尉の気持ちが動き、熱い思いが甦ってきた。抱き合う2人の横を、訪れていたビクトリア女王が微笑みながら通りすぎるのだった。



スタッフ :
監督 : ウォルター・ラング
脚本 : エセル・ヒル、ウォルター・フェリス
原作 : フランシス・ホジソン・バーネット
製作 : ダリル・ザナック
音楽 : チャールズ・マクスウェル、シリル・J・モックリッジ
撮影 : アーサー・C・ミラー、ウィリアム・V・スコール
編集 : ルイス・R・レフラー

キャスト :
サラ・クルー : シャーリー・テンプル
ジェフリー・ハミルトン : リチャード・グリーン
ローズ : アニタ・ルイーズ
クルー大尉 : イアン・ハンター
ラムダス : シーザー・ロメロ
ミンチン : メアリー・ナッシュ
バーティ : アーサー・トレイサー
ベッキー : シビル・ジェーソン
[ 2017/10/18 14:00 ] 児童文学 | TB(-) | CM(0)

チップス先生さようなら

(ドラマ/ミュージカル)

『 チップス先生さようなら 』
原題 : Goodbye, Mr.Chips
製作 : 1939年
製作国 : アメリカ

イギリスの作家ジェームズ・ヒルトンの代表作「グッドバイ・ミスター・チップス」のミュージカル映画化。
イングランド南部の田園の町ブルックフィールドにあるブルックフィールド・スクール。ここに勤めるアーサー・チッピング(ピーター・オトゥール)は親しい人々にチップス先生と呼ばれていた。彼は教育熱心ではあったが、生徒たちの受けはよくなかった。まだ独身のチップス先生は、夏休みを利用して、イタリアへの旅に出かけた。途中、ロンドンで1泊した際、俳優のキャサリン(ペトゥラ・クラーク)と知り合った。そして、その後、ポンペイの遺跡で再会した2人の心は急速に打ち解けあった。そしてあるパーティの席上彼女から愛を打ち明けた。ブルックフィールドに戻った時、チップス先生のそばにはキャサリンがいた。校長(マイケル・レッドグレイヴ)をはじめ学園中が目を丸くして驚いたが、たちまちキャサリンは人気者になってしまった。しかし学校の有力者サタウィック卿(ジョージ・ベイカー)はチップスを学校から追い出すよう脅迫した。キャサリンはこの強力な反対に会い、身を引こうとしたが、チップス先生の愛に支えられ、2人の幸福な生活が続いた。そして、この頃から生徒達も、チップス先生の魅力にひかれはじめてきた。だが、やがて戦争が始まり、キャサリンは空軍の慰問に出かけて行った。チップス先生の校長就任が決まった時、彼女は帰らぬ旅路に発った後だった。そして戦争は終わった。チップス先生は生徒たちに別れを惜しまれながら職を退いた。しかし町を去るにしのびず、学校の近くに居を構えることにした。そして、そこには毎日のように、生徒の明るい顔がみられるのだった。



スタッフ :
監督 : ハーバート・ロス
製作 : A・P・ジャコブ
原作 : ジェームズ・ヒルトン
脚本 : テレンス・ラティガン
撮影 : オズワルド・モリス
音楽 : ジョン・ウィリアムス
美術 : ケン・アダム
編集 : ラルフ・ケンプレン
衣装 : ジュリー・ハリス

キャスト :
チップス先生 : ロバート・ドーナット (アカデミー主演男優賞受賞)
キャサリン : グリア・ガースン
ジョン・コリー : テリー・キルバーン
青年期のピーター・コリー2世 : ジョン・ミルズ
ステュフェル : ポール・ヘンリード
フローラ : ジュディス・ファース
ウェザビー : リン・ハーディング
チャタリス : ミルトン・ロズマー
マーシャム : フレデリック・レイスター
ウィケット夫人 : ルイーズ・ハンプトン
ラルストン : オースティン・トレヴァー
ジャクソン : デビッド・ツリー
モーガン大佐 : エドモンド・ブレオン
ヘレン・コリー : ジル・ファース
ジョン・コリー卿 : スコット・サンダーランド
[ 2017/10/16 14:00 ] ミュージカル | TB(-) | CM(0)

オズの魔法使

(ドラマ/ミュージカル)

『 オズの魔法使 』
原題 : The Wizard of Oz
製作 : 1939年
製作国 : アメリカ

アメリカの童話作家L・フランク・ボームの童話を色彩(テクニカラー)ミュージカル映画化したもの。
カンサスの農場に住む少女ドロシー(ジュディ・ガーランド)はある日愛犬トトが近所のミス・グルチからいじめられたといって泣きながら帰ってきたが、誰も相手にならないので、トトと家出して、田舎道を歩いていると家出を見破った占師マーヴェル(フランク・モーガン)から伯母さんが心配して病気になったといわれて、家へ帰ると、折から大龍巻が襲来して農場は大騒ぎ、こわくなってベッドにうつぶせになっていたところを、風で外れた窓が彼女の頭をしたたか打った。ーふと気づくと、ドロシーは家もろとも大空高く吹きあげられ、やがてふわりと落ちたところはオズの国、シャボン玉から現われた北の仙女グリンダから、ここは小人の町だと教えられ、ドロシーの家が落ちて悪者の東の魔女が下に押しつぶされたと告げられているところへ、グルチさんそっくりの東の魔女の妹西の魔女が現れ、姉の形見のルビーの靴を持って行こうとしたけれど、靴はいつの間にかドロシーの足にはまっており、魔女はグリンダにはかなわないと逃げ出し、グリンダは魔女の復讐がドロシーに向けられるのを心配して故郷へ帰るよう勧めたが、それにはずっと離れたエメラルド・シティに住むオズの魔法使の力を借りなくてはならず、小人たちに見送られて、ドロシーとトトは、途中、彼女をいつも可愛がってくれた農夫ハンクそっくりの、脳みそをほしがっている案山子と、ヒッコリー瓜二つの、鍛治屋が心を入れ忘れたブリキ人形と、ジークそっくりの臆病なライオンを仲間に加え、エメラルド・シティの見えるケシの花畑に達したところ、西の魔女の魔術にかかってドロシーとライオンは眠ってしまったが、グリンダの力で目がさめて、待望の城内に入り、オズの王様に対面すると、皆の望みを叶えてやるかわりに西の魔女の箒を持ってこいと命じられ、早速ドロシーたちが魔女の城へ向かったところ、途中、森の中で猿の軍勢に襲われ、ドロシーとトトは魔女の城の一室に閉じ込められ、臆病ライオンまでが勇みたって城内に突進してドロシーを救い出したところがまた魔女に捕らえられ、藁で出来た案山子が焼かれそうになったとき、ドロシーが水をかけて彼を救い、その水がかかった魔女はとけてしまったので、一同は箒を持ってオズの王様のところへ行くと、占師マーヴェルそっくりのオズの魔法使が「案山子は旅の困難を切りぬけようと頭を使い、ライオンは危険に立ち向かい、ブリキの人形はドロシーの運命に涙を流したから願いは果たされた」といい、ドロシーには一緒に気球でテキサスへ帰ろうといったが、出発間際ふとしたことから気球は魔法使いだけを乗せて舞い上がってしまい、ドロシーが悲しんでいると、仙女グリンダが現れ、彼女の願いを叶えてくれることになり、ドロシーは仲間に別れを告げて目を閉じた。ーやがてドロシーが目を開けると、伯父伯母をはじめ、ハンク、ヒッコリー、ジーク、マーヴェルが傍にいたが、彼女にとって皆がオズの国で一緒だったことを覚えていないのが不思議でしょうがないのだった。



挿入歌 : Over the Rainbow


スタッフ :
監督 : ヴィクター・フレミング
脚本 : ノエル・ラングリー、フローレンス・ライアソン、エドガー・アレン・ウルフ
原作 : L・フランク・ボーム
台詞 : ノエル・ラングリー
製作 : マーヴィン・ルロイ
撮影 : ハロルド・ロッソン
美術 : セドリック・ギボンズ
音楽 : ハロルド・アーレン
録音 : ダグラス・シアラー
編集 : ブランシュ・セーウェル
作詞 : E・Y・ハーバーグ
編曲 : ハーバート・ストサート
指揮 : ジョージ・ストール

キャスト :
ドロシー : ジュディ・ガーランド
案山子 : レイ・ボルジャー
ハンク : レイ・ボルジャー
ブリキ男 : ジャック・ヘイリー
ヒッコリー : ジャック・ヘイリー
ライオン : バート・ラー
ジーク : バート・ラー
グリンダ(北の良い魔女) : ビリー・バーク
西の悪い魔女 : マーガレット・ハミルトン
ミス・ガルチ : マーガレット・ハミルトン
オズの大魔法使い : フランク・モーガン
占い師マーヴェル : フランク・モーガン
御者 : フランク・モーガン
門番 : フランク・モーガン
トト(犬) : テリー(声)
[ 2017/10/14 14:00 ] ミュージカル | TB(-) | CM(0)

白雪姫

(ディズニーアニメ)

『 白雪姫 』
原題 : Snow White and Seven Dwarfs
製作 : 1937年
製作国 : アメリカ

ウォルト・ディズニーが最初に製作した長編動画で、世界最初の色彩長編動画でもある。グリム童話にもとづき、美しく心やさしい白雪姫に7人の愉快な性格を持つ小人たちを配し愛の尊さを説く。
森の中の大きな城に住む女王は自分より白雪姫の方が美しいことを魔法の鏡から詩って大いに怒り、家来に白雪姫を森の奥へつれて行き殺すよう命じる。家来は殺すにしのびず、白雪姫を森に逃がし、女王には豚の心臓をとどける。森の逃れた白雪姫は7人の小人や動物たちと楽しく暮らす。これを知った女王は妖婆に化けて森の奥へ行き、白雪姫に毒リンゴを食べさせる。仮死状態になった白雪姫は、かねてから願っていたすてきな王子様が現われ、愛の接吻で生きかえり、幸福をつかむ。



挿入歌 : Heigh Ho


スタッフ :
監督 : デイヴィッド・ハンド
脚本 : テッド・シアーズ、オットー・イングランダー、アール・ハドソン、ドロシー・アン・ブランク、リチャード・クリードン、メリル・デ・マリス、ディック・リカード、ウェブ・スミス
原作 : ヤーコプ・グリム、ヴィルヘルム・グリム
製作 : ウォルト・ディズニー、キャラクター・デザイン : アルバート・ハーター、ジョー・グラント
撮影 : ボブ・ブロートン
音楽 : フランク・チャーチル、レイ・ハーライン、ポール・J・スミス
録音 : ウィリアム・E・ギャリティ
音響効果 : ジェームス・マクドナルド
色彩設計 : マーセリット・ガーナー

キャスト : 声優
白雪姫 : アドリアナ・カセロッティ
王子 : ハリー・ストックウェル
女王/魔女 : ルシル・ラ・ヴァーン
先生 : ロイ・アトウェル
おこりんぼ : ピント・コルヴィッグ
ねぼすけ : ピント・コルヴィッグ
くしゃみ : ビリー・ギルバート
てれすけ : スコッティ・マットロー
ごきげん : オーティス・ハーラン
おとぼけ : エディ・コリンズ
魔法の鏡 : モローニ・オルセン
狩人 : スチュアート・ブキャナン
[ 2017/10/12 14:00 ] ディズニーアニメ | TB(-) | CM(0)
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