蒼色の月明かりの下で

心に残る昔の名画。

4Dマン・怪奇!壁ぬけ男

(アクション/SF)

『 4Dマン・怪奇!壁ぬけ男 』
原題 : 4D Man
製作 : 1959年
製作国 : アメリカ

厚いブロックや鋼鉄の壁をつき通す、どこにも障害物がない4次元の世界を扱ったSFドラマ。
物理学者トニー(ジェームズ・コングドン)と、兄の科学者スコット(ロバート・ランシンググ)は共同研究することにした。ある晩、トニーはある信じ難い新しい方法を発見した。それは自分の腕がどんな物体でもつき通すのである。スコットの助手でフィアンセのリンダ(リー・メリウェザー)は一緒に仕事をしていくうちトニーに心変わりしており、助手のロイが自分の研究資料を盗もうとするのを知ったスコットは物体をつき通す実験で彼を殺した。スコットは神秘的な力を身につけ、証拠を残さず銀行を襲うことにも成功した。しかしその実験の副作用“老化”を感じ、心を憎しみに歪ませていった。彼は、狂気の殺人と身の毛もよだつ発作に他人を殺してはそこに小さな安らぎをみた。もはやどんな牢獄も彼を捕まえておくことは出来ないと知ったリンダは、スコットの愛の残り火を利用することを決心した。この美しい少女に心をとらわれていたスコットは、彼女に接吻する時、その生命を奪ういまわしい力を使うことができなかった。リンダは、自分に近づいてくる彼にむせびながら銃口を向けた。彼の死体は恐ろしいほど年をとっていた。リンダとトニーはその愛の生活の道が開けているのを複雑な気持ちで悟った。



スタッフ :
監督 : アービン・ショーテス、アービン・S・イヤワース・ジュニア
脚本 : セオドア・シモンソン
製作 : ジャック・H・ハリス
撮影 : セオドア・J・ファール
音楽 : ラルフ・カーマイケル

キャスト :
スコット・ネルソン博士 : ロバート・ランシング
リンダ・デイビス : リー・メリウェザー
トニー・ネルソン博士 : ジェームズ・コングドン
ロイ・パーカー : ロバート・ストラウス
カーソン : エドガー・ステル
マージョリー・サザーランド : パティ・デューク
[ 2018/05/31 15:00 ] SF | TB(-) | CM(-)

悲しみよこんにちは

(ドラマ/青春)

『 悲しみよこんにちは 』
原題 : Bonjour Tristesse
製作 : 1958年
製作国 : アメリカ

原作はフランソワーズ・サガンが18歳の時に初めて書いた小説「悲しみよこんにちは」を映画化した作品。当時女性のショートカット、セシールカットはジーン・セバーグのヘアスタイルから。
あの夏からは総てが変わった。何もかもが永遠に--1年前の夏、17歳の私は全く幸福だった。海を見下ろす南仏セント・トラペッツの丘の別荘に私たちはいた。母を15年前亡くした父レイモン(デイヴィッド・ニーヴン)と、父の愛人エルザ(ミレーヌ・ドモンジョ)と、私、セシール(ジーナ・セバーグ)の3人。父は41歳の事業家で、女にもて、親切で朗らかで、私を愛していた。半玄人でワンサ女優のエルザ、数多い父の女友達の1人。こういう友が、父に必要だということは、私はよく解っていた。海での最初の日、私は若い法科の学生フィリップ(ジョフリー・ホーン)と知りあった。私たちが海辺で最初の接吻をかわした日、母の友達だった、デザイナーのアンヌ・ラルサン(デボラ・カー)がやってきた。優雅な、洗練された、夫と離婚した中年の彼女。私たちの気楽な生活が、彼女の出現によって終わりそうなことを私は直感した。エルザが共に居ることを怒った彼女も、結局は私たちといっしょにくらすことになった。しかし、父とアンヌはだんだん親密になり、エルザと私は孤独になっていった。私にはまだフィリップがいたけれど、エルザがまず我慢出来なくなった。カジノに行った夜。消えてしまった父とアンヌを探して、2人の囁きを暗闇の自動車の中に私が聞いた夜。エルザは私たちの所へ帰って来なかった。翌朝、父はアンヌとの結婚を打明けて私に賛成を求めた。中年の、恋を得た女性の美しさ。それが私にはねたましかった。海辺のパラソルの下で、私はフィリップと激しい接吻に身をまかせた。それを、アンヌが見たのだ。激しい叱責、勉強のこと、フィリップと会ってはならぬこと、将来のこと等々。けれど、私はもう子供じゃないのだ。父をかえ、私までかえようとするアンヌ、大嫌いな女。私は彼女の詰問にあって、夜の部屋をとび出した。裸で眠っていたフィリップの部屋で、私は初めて彼の激しい愛撫におぼれた。私は復讐の片棒をエルザにかつがせた。フィリップと彼女の連れだった姿を見せつけて、父の嫉妬をかきたてようというのだ。計画はやがて実を結んだ。その日の昼すぎ、父は人に会うのだと外出した。やがて散歩に出たアンヌのあとを私はつけた。そして、木陰で聞いた父とエルザの忍び笑い。アンヌは家の方に向かって走った。彼女は涙を流していた。そんな彼女を、今までどうして私は想像しえたろう。待って、アンヌ、許して--すがる私に、彼女は接吻して、自動車を猛烈なスピードでスタートさせ、走り去った。自動車が崖から落ちて、彼女が死んだことが知らされたのはその日の午後だった。この夏7回目の運転事故として。--エルザは南米に行き、フィリップとは葬式以来会っていない。残った父と私。あの時から、どの日も私にとって暗い。夢の中でアンヌを呼び、また意味のない1日を迎えようとする朝、私はつぶやく、悲しみよ、こんにちはと。


主題歌 : 「悲しみよこんにちは」 by ジュリエット・グレコ

スタッフ :
監督 : オットー・プレミンジャー
製作 : オットー・プレミンジャー
原作 : フランソワーズ・サガン
脚色 : アーサー・ローレンツ
撮影 : ジョルジュ・ペリナール
音楽 : ジョルジュ・オーリック
美術 : レイ・シム
編集 : ヘルガ・クランストン

キャスト :
アン・ラーソン : デボラ・カー
レイモンド : デイヴィッド・ニーヴン
セシール : ジーン・セバーグ
エルザ : ミレーヌ・ドモンジョ
フィリップ : ジェフリー・ホーン
自分自身 : ジュリエット・グレコ
パブロ : ワルター・キアーリ
ロンバード夫人 : ジーン・ケント
フィリップの母 : Martia Hunt
ジャック : デイヴィッド・オックスレイ
デニス : エルガ・アンデルセン
[ 2018/05/29 15:00 ] 青春 | TB(-) | CM(-)

大いなる西部

(ドラマ/西部劇)

『 大いなる西部 』
原題 : The Big Country
製作 : 1958年
製作国 : アメリカ

サタディ・アヴニング・ポストに連載されたドナルド・ハミルトンの原作を映画化した西部劇。
1870年代のテキサス州サンラファエルに、東部から1人の紳士ジェームズ・マッケイ(グレゴリー・ペック)が、有力者テリル少佐の1人娘パット(キャロル・ベイカー)と結婚するためにやってきた。出迎えた牧童頭のスチーヴ・リーチ(チャールトン・ヘストン)は彼に何となく敵意を示した。スチーヴは主人の娘を恋していたのだ。途中まで許婚者を迎えたパットは、スチーヴを先に帰してジェームズと父の牧場に向かったが、途中で酒に酔ったハナシー家の息子パックたちに、悪戯をうけた。しかしジェームズは彼らを相手にしなかった。パットの父テリル少佐は大地主ルファス・ハナシーとこの地の勢力を二分し、争っていた。2人が共に目をつけている水源のある土地ビッグ・マディを、町の学校教師でパットの親友ジュリー・マラゴン(ジーン・シモンズ)が所有していた。彼女は一方が水源を独占すれば必ず争いが起こるところから、どちらにも土地を売ろうとしなかった。少佐は娘の婿にされた乱暴に対して、ハナシーの集落を襲い、息子たちにリンチを加えて復讐した。そんな少佐の態度にジェームズは相いれないものを感じた。彼は争いの元になっている土地ビッグ・マディを見て、女主人ジュリーに会い、中立の立場で誰にでも水を与え、自分でこの地に牧場を経営したいと申し出て彼女と売約契約をかわした。一方血気にはやるパットと父の大佐には、慎重なジェームズの態度が不満だった。水源地ビッグ・マディを手に入れて大佐に対抗するため、ハナシーはジュリーを監禁する挙に出た。ジェームズはメキシコ人牧童の案内で単身本拠にのりこみ、水源は自由にすると明言してジュリーを助け出そうとした。ハナシーの息子バックは、ジュリーに対する横恋慕からジェームズと決闘したが、卑怯な振舞いから父に射殺された。少佐とスチーヴの一隊がのりこんできて乱戦が始まった。そして、1対1で対決した大佐とハナシーは、相撃ちで共に死んだ。憎悪による対立と暴力の時代は終わった。今はジュリーの腕をとって、ジェームズは新しい我が家ビッグ・マディに、新生活を始めるため馬首を進めた。



主題曲 : 「大いなる西部」 by ジェローム・モロス


スタッフ :
監督 : ウィリアム・ワイラー
脚本 : ジェームズ・R・ウェッブ、サイ・バートレット、ロバート・ワイルダー
脚色 : ジェサミン・ウェスト、ロバート・ワイラー
原作 : ドナルド・ハミルトン
製作 : ウィリアム・ワイラー、グレゴリー・ペック
撮影 : フランツ・プラナー
美術 : フランク・ホテリング
音楽 : ジェローム・モロス
編集監督 : ロバート・スウィンク
編集 : ロバート・ベルチャー、ジョン・フォーレ

キャスト :
ジェームズ(ジム)・マッケイ : グレゴリー・ペック
ジュリー・マラゴン : ジーン・シモンズ
パトリシア(パット)・テリル : キャロル・ベイカー
スティーブ・リーチ : チャールトン・ヘストン
ルーファス・ヘネシー : バール・アイヴス (アカデミー助演男優賞受賞)
ヘンリー・テリル少佐 : チャールズ・ビックフォード
ラモン・ギテーラス : アルフォンソ・ベドヤ
バック・ヘネシー : チャック・コナーズ
レイフ・ヘネシー : チャック・ヘイワード
マンディ : ドロシー・アダムズ
ブラッキー : ジム・バーク
[ 2018/05/27 15:00 ] 西部劇 | TB(-) | CM(-)

先生のお気にいり

(ドラマ/ラブ・コメディ )

『 先生のお気にいり 』
原題 : Teacher's Pet
製作 : 1958年
製作国 : アメリカ

タフな新聞記者と美しい女性大学教授をめぐる恋愛コメディ。
ニューヨークの新聞「イブニング・クロニクル」の社会部長ジム・ギャノン(クラーク・ゲーブル)は、学歴もなく裸一貫でたたきあげたタフな新聞記者で、経験以外の学問などというものを信用しない男だった。その彼が編集局長のロイドによばれて、市立大学の夜学のジャーナリズム講座での講演を命じられたのだから、彼が即座に担任教授E・R・ストーン氏に断りの手紙を書いたのも無理はなかった。ところが編集局長の厳重な命令で、翌日の夜、彼は講座の教室に行かざるをえなかった。教室に座っていると、やがて教授が入ってきた。何とE・R・ストーン氏のEはエリカの略で、教授は美しいブロンド美人(ドリス・デイ)だった。彼女は教壇でジムの断り状を読みあげ、彼を旧式の人間に違いないときめつけた。その場で学生の1人になりすましたジムは、それからというもの教室に出かけて、よき学生ぶりを示してエリカ教授のお気に入りの生徒になりすました。だんだん探ってみるうちに、彼女には12冊の著書をもつヒューゴー・パイン教授(ギグ・ヤング)という、親しい友達があるのをジムは知った。ナイト・クラブで会ったその教授が、著書の数から予想していたよりハンサムなので、彼は色々と話題を変えて、エリカの前で教授をへこませようとした。しかしそんな話にも教授は博識ぶりを示し、おまけにクラブのショウに出演中のストリップ・ダンサーで、ジムのガール・フレンドのペギー(マミー・ヴァン・ドーレン)が色目を使うので、ジムはすっかり困ってしまった。その夜、エリカのアパートで、彼は、彼女がアメリカ新聞界の巨人ジョーエルの遺児なのを知った。ジョーエルが創刊した「ユーレカ・センティネル」紙は、世界の新聞界の話題となる社説で有名だった。翌日ジムは会社で、社長から、旧友に引きあわせるといってエリカを紹介された。彼の本当の職業を知ったエリカは怒って去ってしまった。パイン教授に助言してもらうために、彼のアパートを訪れたジムはそこで「ユーレカ・センティネル」紙を社説以外は古くさい新聞だと日頃の信念通りこき下ろしているところを、訪ねてきたエリカに聞かれてしまった。しかし、それを心にとめた彼女は、バック・ナンバーを調べた末、彼の主張が事実であるのを悟った。エリカは新聞社をたずね、ジムに詫びて改めて彼に講義をたのんだ。ジムは去っていくエリカを追ってエレベーターにとびこんだ。2人をのせたエレベーターは4分間も動かなかった。新聞社員たちは、部長と先生が、エレベーターの中で2人だけの記事を書いているのを祝福した。



主題歌 : 「先生のお気にいり」 by ドリス・デイ


スタッフ :
監督 : ジョージ・シートン
脚本 : フェイ・カニン、マイケル・カニン
製作 : ウィリアム・パールバーグ
撮影 : ハスケル・ボッグス
美術 : ハル・ペレイラ、アール・ヘドリック
音楽 : ロイ・ウェッブ
編集 : アルマ・マックローリー
衣装 : エディス・ヘッド
作詞 : ジョー・ルビン、ルイス・アルヴァレズ
作曲 : ジョー・ルビン、ルイス・アルヴァレズ

キャスト :
ジェームス・ギャノン : クラーク・ゲーブル
エリカ・ストーン : ドリス・デイ
ヒューゴ・パイン博士 : ギグ・ヤング
ペギー : マミー・ヴァン・ドーレン
バーニー・コバック : ニック・アダムス
ハロルド・ミラー : ピーター・ボールドウィン
ケイティー・フラー : マリオン・ロス
ロイ・アシスタント : チャールズ・レーン
ガイド : ジャック・アルバートソン
J. L. バレンチン : フローレンツ・エイムズ
ロイド・クロウリー : ハリー・アントリム
コバック夫人 : ヴィヴィアン・ネイザン
[ 2018/05/25 15:00 ] ラブ・コメディ | TB(-) | CM(-)

黄色い老犬

(ディズニー実写)

『 黄色い老犬 』
原題 : Old Yeller
製作 : 1957年
製作国 : アメリカ

フレッド・ジプソンの原作にもとづく、2人の少年と1頭の年老いた犬との愛情の物語。
南北戦争直後のテキサス--コーツ一家では父のジム(フェス・パーカー)がカンサスへ牛追いに旅立った。後に残ったのは母のケイティ(ドロシー・マクガイア)とトラビス(トミー・カーク)、アーリス(ケヴィン・コーコラン)の兄弟だった。ある日、黄色い老犬が現われて畑を荒した。怒ったトラビスは犬を追い出した。ケイティは遊び相手のいないアーリスのために、この犬を飼うことにした。茂みでアーリスは子熊をみつけた。そこに親熊が現われたが、老犬の活躍でアーリスを救った。トラビスは老犬イエラーを見直した。村のバット老人は怠け者だ。孫娘のリスベスと一緒に、食事時になるとよくコーツ家を訪れた。トラビスはイエラーが村の家々から食料品を盗んでいることを知った。リスベスは彼女が飼っているメス犬のプリッイが仔犬を生み、その父親がイエラーであるのを知っていた。イエラーは暴れ牛をこらしめたりし、コーツ家にはなくてはならぬ存在となった。ある日、バーンという牧童がやって来た。彼は行方不明になった犬を探していた。イエラーはバーンの犬だった。しかしバーンはアーリスの悲しそうな顔をみて、イエラーを残していくことにした。帰る時、バーンはトラビスに、恐水病が流行しているから注意するようにいい残した。翌日、トラビスはイエラーと猪狩りに出かけた。トラビスは水の上から猪の群の中に落ち、イエラーに救われた。イエラーも怪我をしたが、やがて回復した。バーンがいった恐水病は、コーツ家の牛にも伝染した。恐水病にかかった狼がケイティに襲いかかった。今度もイエラーの活躍で難を逃れた。が、イエラーも傷つき、それが原因で恐水病にかかった。イエラーは凶暴な野獣となった。トラビスは泣きながら老犬を射殺した。長い旅を終えた父ジムが戻って来た。話を聞いてジムはトラビスをなぐさめた。苦しいことを乗り越えてこそ本当の男だと。リスベスが連れて来た仔犬はイエラーにそっくりだった。アーリスは子犬と元気に野原を駈けまわるのだった。



スタッフ :
製作 : ロバート・スティーヴンソン
監督 : ロバート・スティーヴンソン
脚本 : フレッド・ジプソン、ウィリアム・ターンバーグ
原作 : フレッド・ジプソン
撮影 : チャールズ・P・ボイル
美術 : キャロル・クラーク
音楽 : オリヴァー・ウォーレス

キャスト :
ケイティ・コーツ : ドロシー・マクガイア
ジム・コーツ : フェス・パーカー
バット・サーシー : ジェフ・ヨーク
トラビス・コーツ : トミー・カーク
アーリス・コーツ : ケヴィン・コーコラン
リスベス・サーシー : ヴィヴァリー・ワシュバーン
バーン・サンダーソン : チャック・コナーズ
[ 2018/05/23 15:00 ] ディズニー実写 | TB(-) | CM(-)

ロバート・ドーナット

(キャスト/男優)

『 ロバート・ドーナット 』 Robert Donat

生年月日 : 1905年03月18日
没年月日 : 1958年06月09日( 53 歳没)
出生地 : マンチェスター
死没地 : ロンドン
国籍 : イギリス
活動期間 : 1932年~1958年
受賞 :
アカデミー賞
1939年『チップス先生さようなら』 アカデミー主演男優賞

ロバート・ドーナット

1921年に16歳で初舞台を踏み、1932年に映画デビュー。同年、チャールズ・ロートン主演の「ヘンリー八世の私生活」での演技が評判となり、その後は洗練された英国紳士役でアルフレッド・ヒッチコックの「三十九夜」やルネ・クレールの「幽霊西へ行く」などで人気を博す。1938年、「城砦」でアカデミー主演男優賞ノミネート。翌1939年、クラーク・ゲーブルやローレンス・オリヴィエやジェームズ・スチュワートといった強力な対抗馬を抑えて、「チップス先生さようなら」でアカデミー主演男優賞を受賞した。しかし、その後は慢性的な喘息に悩まされ、よって30年近いキャリアがありながらも、映画出演数が20本と極めて少ない。なお、デヴィッド・リーンの「ホブスンの婿選び」についても主演する予定だったが、体調悪化のため、途中降板せざるを得なかった。

主な出演作品 :
1933年 ヘンリー八世の私生活 : The Private Life of Henry VIII.
1934年 厳窟王 : The Count of Monte Cristo
1935年 三十九夜 : The 39 Steps
1935年 幽霊西へ行く : The Ghost Goes West
1937年 鎧なき騎士 : Knight Without Armour
1938年 城砦 : The Citadel
1939年 チップス先生さようなら : Goodbye, Mr. Chips
1948年 ウィンスロー少年 : The Winslow Boy
1958年 六番目の幸福 : The Inn of the Sixth Happiness
[ 2018/05/21 15:00 ] 男優 | TB(-) | CM(-)

野いちご

(ドラマ/ヒューマン)

『 野いちご 』
原題 : Smuktron-Stallet
製作 : 1957年
製作国 : スウェーデン

老医師の夢と現実を一種の回想形式で描く作品。
私(ヴィクトル・シェーストレム)は七十六歳の医師、他人との交渉を好まず、もっぱら書斎にひきこもっている。六月一日、私を襲った数々の出来事と夢と思索とは、自を裏切ってきた惨めな人生を思い知らせるものであった。その日、私は五十年にわたる医学への献身によって、名誉博士の称号をうける式典に出席することになっていた。息子エヴァルドの妻、マリアンヌ(イングリッド・チューリン)が同乗して車はルンドへ向う。思いついて青年時代を過した邸に立ち寄った。草むらの野いちごは、たちまちありし日の情景をよみがえらせた。--野いちごを摘む可憐なサーラ(ビビ・アンデショーン)は私のフィアンセだった。だが、大胆な私の弟がサーラを奪った。傷ついた私の心は未だに癒えない。ここから三人の無銭旅行者を乗せた。若い彼等の溢れんばかりの天衣無縫さに接して、私はいまさらのように無為に過ごした年月が悔まれた。曲り角で、すれ違う車とあやうく衝突しかけて、相手の車は転覆した。乗っていた二人を同乗させたが、彼らはみじめな夫婦だった。あたり構わず口論し、互にさげすみ、しまいには叩き合った。マリアンヌは二人を降ろした。廻り道をして、私は九十六歳の老母を訪ねた。彼女は他人にも自分にも厳しく、親族は誰も寄りつこうとしない。死さえも彼女をさけているようだ。車中、またしても私はまどろんだ。暗い森の中に連れて行かれた私は、妻カリンと愛人の密会を見た。それは私がかつて目撃した光景そのままであった。めざめた私は、妻の告白をきいて以来死を生きていることに気付いた。マリアンヌは、エヴァルトも死を望んでいるのだと話した。車はルンドに着き、ファンファーレと鐘の音に包まれて式典は荘重に行われた。エヴァルトの家にくつろいだ私は、いつになく暖い感情にひたっていた。ベッドに横たわるとまたしても夢の世界に入っていた。--野いちごの森からサーラが現れて私を入江に連れて行った。父は静かに釣糸をたれ、傍では母が本を開いていた。彼の心境をそのままにすべては安らかであった。



スタッフ :
監督 : イングマール・ベルイマン
脚本 : イングマール・ベルイマン
撮影 : グンナール・フィッシャー
音楽 : エリク・ノルドグレン
美術 : ギットン・グスタフソン
衣装 : ミリー・ストロム

キャスト :
サーラ : ビビ・アンデショーン
マリアンヌ : イングリッド・チューリン
エヴァルド : グンナール・ビョルンストランド
イサク教授 : ヴィクトル・シェストレム
アンダース : フォルケ・サンドクィスト
ビクター : ビヨルン・ビェルヴヴェンスタム
彼女の恋人 : オーケ・フリーデル
叔母 : シフ・ルード
ヘンリク・アケルマン : マックス・フォン・シドー
シャルロッタ : グンネル・リンドブロム
双子の姉妹 : レナ・バーグマン
双子の姉妹 : モニカ・エーリン
[ 2018/05/19 15:00 ] ヒューマン | TB(-) | CM(-)

昼下りの情事

(ドラマ/ラブ・コメディ )

『 昼下りの情事 』
原題 : Love in the Afternoon
製作 : 1957年
製作国 : アメリカ

クロード・アネの小説『アリアンヌ(Arianne)』を映画化したラブコメディ。
クロード・シャヴァッス(モーリス・シュヴァリエ)はパリの私立探偵である。御依頼ともあれば、アメリカの億万長者フラナガン(ゲイリー・クーパー)とX夫人の濡れ場を盗み撮るという仕事も、やらねばならない。依頼人のX氏がその写真を見て、フラナガンを殺すといきまく。これを聞いたのが、シャヴァッスの娘アリアーヌ(オードリー・ヘップバーン)である。彼女は父の扱う事件記録を読むのを楽しみにしていたが、チェロの勉強にコンセルヴァトワールへ出かけたものの、この事件が気になってたまらない。フラナガンの泊まっているホテルへ来てみると、X氏がピストルをポケットに忍ばせているところにアリアーヌは出くわした。アリアーヌの機転でX夫人は逃れ、危ういところを助かったフラナガンは、彼女と明日の午後を約束する。翌日、あんな浮気男とデートなどすまいと思ったものの、アリアーヌは結局ホテルを訪れる。食事と美しいムードミュージック、フラナガンのお定まりの手に、アリアーヌはすっかり参ってしまう。しかし、やがてフラナガンがパリを出発する時刻が来て、2人はいかにも世慣れた遊び人同士の如く、あっさり別れた。が、車が見えなくなると、アリアーヌはしおしおと音楽院へ向うのだった。何ヵ月後のある夜、アリアーヌはオペラで恋しいフラナガンに再会し、明日の逢瀬を約束する。翌日ホテルを訪れたアリアーヌに、皮肉にも今度はフラナガンが参ってしまい、彼女がことありげに話した男たちのことに、気が揉めてたまらない。偶然出会ったX氏に相談すると、彼の答は、シャヴァッスに頼め、だった。シャヴァッスが調査してみればなんと自分の娘アリアーヌである。事実を告げることもできず、シャヴァッスはフラナガンに、あの婦人は箱入り娘で当人の言ったことは全部作り話、あの娘を愛しいと思ったら、パリを離れることだと報告する。アリアーヌがホテルを訪れた時、フラナガンは荷造りを済ませていた。世慣れた風を装い、アリアーヌはリオン駅ホームまで見送るが、お互いに別れがたい。やがて発車の時、フラナガンは、遂にアリアーヌを列車に抱えあげる。プラットホームには、ふたりを微笑んで見送るシャヴァッスの姿があった。



スタッフ :
監督 : ビリー・ワイルダー
脚本 : ビリー・ワイルダー、I・A・L・ダイアモンド
原作 : クロード・アネ
製作 : ビリー・ワイルダー
撮影 : ウィリアム・メラー
音楽 : フィルモ・ダンテ・マルチェッティ、モーリス・ド・フェラウディ、アンリ・ベッティ、アンドレ・オレネス、シャルル・トレネ、マティ・マルネック
編集 : レオニード・アザー
衣裳 : ユベール・ド・ジバンシー

キャスト :
フランク・フラナガン : ゲイリー・クーパー
アリアーヌ・シャヴァッス : オードリー・ヘプバーン
クロード・シャヴァッス : モーリス・シュヴァリエ
X氏 : ジョン・マッギーバー
X夫人 : リーゼ・ボウルディン
ミシェル : ヴァン・ドード
[ 2018/05/17 15:00 ] ラブ・コメディ | TB(-) | CM(-)

第七の封印

(ドラマ/ヒューマン)

『 第七の封印 』
原題 : Det Sjunde Inseglet
製作年 : 1957年
製作国 : スウェーデン

騎士と死神の対決を通して神の存在を問い掛けた作品。生と死の問題を鋭く追究した思想ドラマ。
騎士アントニウス(マックス・フォン・シドー)は十字軍の遠征を終え、従者ヨンス(グンナール・ビエンストランド)を従えて、十年もの苦戦と長旅に憔悴していた。懐疑的になっていた彼に死神が訪問する。死期が迫っていることを悟るが、死神にチェスの試合をいどみ、勝負がつくまで生命の猶予を乞うた。彼等の行く手には、疫病がはびこり、邪教は跳染していた。彼は神の存在というもの、啓示を求めたが、祭壇にひざまづく度に死神に邪魔された。帰途につく彼等の前に、手品師の夫婦ヨフ(ニルス・ポッペ)とミア(ビビ・アンデショーン)が現われたとき、アントニウスは彼等の素朴さの中に生への希望を見た。途中アントニウスは魔女の処刑を目撃し、またも懐疑的になった。そして、死神というものが、“悪”に対して、“善”のものよりも、より残酷に積極性を示すことを知り、ようやく生と死の意味を多少とも知ることが出来た。森のはずれで、死神とのチェスの試合はつづく。だが、手品師夫婦の命を狙っていると知った騎士は、駒を乱して死神の気をそらし、助けてやった。夜道は嵐になり、すさまじい風の唸りとともに死の影が通りすぎた。一行はアントニウスの家にたどりつき、一同のささやかな食卓を囲んで祈りを始める。「而して小羊、第七の封印を解き給いたれば……」そのとき、音もなく死神が現れた。彼らは思い思いに死の意味を悟り、その訪れを敬虔に迎え入れた。死神に導かれて手をつなぎ踊りながら昇っていく騎士達の姿をヨフは眼のあたりにみた。



スタッフ :
監督 : イングマール・ベルイマン
製作 : アラン・エーケルンド
脚本 : イングマール・ベルイマン
撮影 : グンナール・フィッシャー
音楽 : エリク・ノルドグレン
美術 : P・A・ルンドグレン
振り付け : エルス・フィッシャー

キャスト :
騎士アントニウス・ブロック : マックス・フォン・シドー
従者ヨンス : グンナール・ビョルンストランド
死神 : ベント・エケロート
旅芸人 : ニルス・ポッペ
旅芸人の妻 : ビビ・アンデショーン
少女 : グンネル・リンドブロム
ラヴァル : ベティル・アンデルベルイ
鍛冶屋 : オーケ・フリーデル
鍛冶屋の妻 : インガ・ジル
魔女 : モード・ハンソン
[ 2018/05/15 15:00 ] ヒューマン | TB(-) | CM(-)

戦場にかける橋

(ドラマ/ヒューマン)

『 戦場にかける橋 』
原題 : The Bridge on the River Kwai
製作 : 1957年
製作国 : アメリカ
アカデミー作品賞受賞

第2次大戦下、タイ、ビルマ国境の日本軍捕虜収容所を舞台に日英両軍兵士の人間愛を描いた作品。
第2次大戦下のビルマ・タイ国境近くにある日本軍捕虜収容所。所長の斎藤大佐(早川雪洲)は教養の深い武人だった。ここに収容されているアメリカの海軍少佐シアーズ(ウィリアム・ホールデン)らは激しい労役に脱出の機会を狙っていたが、そんなある日、収容所にニコルスン大佐(アレック・ギネス)を隊長とする英軍捕虜の一隊が送られてきた。バンコック・ラングーン間を結ぶ泰緬鉄道を貫通させるためクライ河に橋梁を建設せよとの命が司令部から斎藤大佐に下り、その労役に送られてきた捕虜である。橋梁完成期日は5月12日、日は幾ばくもない。斎藤大佐は捕虜全員に労役を命じた。が、ニコルスン大佐はジュネーブ協定に背反すると将校の労役従事を拒否したため、営倉に監禁された。その夜シアーズは仲間2人と脱走し、1人だけ助かってコロンボの英軍病院に収容された。一方、収容所では担当者の三浦中尉の工事指導が拙劣なためと捕虜のサボタージュのため架橋工事が遅れていた。斎藤大佐は焦慮の余りニコルスンら将校の翻意を促したが彼らは応じない。やがて3月10日、陸軍記念日となった。斎藤大佐はニコルスンらの頑固さに負け、彼らの恩赦を伝えた。ところがこのとき、意外にもニコルスンは自ら架橋工事に当ろうと申し出た。彼は、サボタージュが軍紀の弛みだとみて捕虜たちに建設の喜びを与えることによって本来の軍人の姿へ鍛え直そうと考えたのである。そして架橋方法にも積極的な意見を述べた。架橋の主導権はニコルスンに移った。期日までに橋を完成するために、斎藤大佐はあえてその屈辱に甘んじた。その頃英軍病院にいるシアーズのもとにワーデン(ジャック・ホーキンズ)という英軍少佐が訪れ、意外な申し入れをした。バンコックーラングーン間の橋が完成、鉄道が敷かれれば日本軍はインドへ迫るだろうし、それを阻止するためには落下傘で挺身隊を降下させ橋を爆破するより方法がない。シアーズに道案内を頼む、というのである。シアーズは、ワーデンの説得を承知した。ワーデン、チャップマン、ジョイス、シアーズの4人からなる橋梁爆破挺身隊は輸送機からタイの密林地帯に降下した。この時チャップマンは巨木に激突、落命した。残る3人は難行軍を続けた。携帯ラジオで、橋は5月12日に完成、13日には初列車がクワイ河を渡るとの日本軍の情報を知った。事実、クワイ河の架橋工事は進み、捕虜兵士の士気は上がり、彼らは橋梁建設に生きる意義を見出していた。ニコルスンはこの橋に英軍の誇りをかけていた。5月12日がきた、夕刻、ワーデンら挺身隊はクワイ河を見下ろす陸の上に辿りついた。夕陽に映えて巨大な橋が見事完成されていた。夜影に乗じ、ジョイスは橋脚に爆薬を装置、シアーズとワーデンは迫撃砲を備えて彼を援護、橋梁爆破の準備はなった。朝がきた。斎藤大佐とニコルスンは最後の点検にと橋を上へ上った。そのとき、ニコルスンは橋脚の爆薬を発見した。と、その矢先斎藤大佐はジョイスに後から刺し殺された。折しも列車の汽笛が聞こえた。ジョイスは発火装置に迫ろうとしたがニコルスンに遮られた。シアーズがジョイスを助けるため出てきたがジョイスとともに、日本兵に射殺された。その瞬間、丘の上のワーデンが放った迫撃砲の1弾はニコルスンの傍らに落下、ニコルスンの体は発火装置の上に崩折れた。捕虜たちが苦心の末に完成した橋は列車とともに粉砕した。ゆるやかに流れるクワイ河の水面に、「本橋梁は英軍将士によって建造されたものなり」と書いた1枚の板が漂うばかり。



主題歌 : 『クワイ河マーチ』


スタッフ :
監督 : デヴィッド・リーン (アカデミー監督賞受賞)
原作 : ピエール・ブール「クワイ河の橋」
製作 : サム・スピーゲル
脚色 : デヴィッド・リーン、ピエール・ブール
撮影 : ジャック・ヒルデヤード
編集 : ピーター・テイラー
音楽 : マルコム・アーノルド
美術 : ドナルド・M・アシュトン
メイク : スチュアート・フリーボーン、ジョージ・パトルトン

キャスト :
シアーズ中佐 : ウィリアム・ホールデン
ニコルソン大佐 : アレック・ギネス (アカデミー主演男優賞受賞)
ウォーデン少佐 : ジャック・ホーキンス
軍医クリプトン : ジェームズ・ドナルド
グリーン大佐 : アンドレ・モレル
ジョイス : ジェフリー・ホーン
斉藤大佐 : 早川雪洲
兼松大尉 : ヘンリー大川
三浦中尉 : 勝本圭一郎
[ 2018/05/13 15:00 ] ヒューマン | TB(-) | CM(-)
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