(ドラマ/青春)
『 悲しみよこんにちは 』
原題 : Bonjour Tristesse
製作 : 1958年
製作国 : アメリカ
原作はフランソワーズ・サガンが18歳の時に初めて書いた小説「悲しみよこんにちは」を映画化した作品。当時女性のショートカット、セシールカットはジーン・セバーグのヘアスタイルから。
あの夏からは総てが変わった。何もかもが永遠に--1年前の夏、17歳の私は全く幸福だった。海を見下ろす南仏セント・トラペッツの丘の別荘に私たちはいた。母を15年前亡くした父レイモン(デイヴィッド・ニーヴン)と、父の愛人エルザ(ミレーヌ・ドモンジョ)と、私、セシール(ジーナ・セバーグ)の3人。父は41歳の事業家で、女にもて、親切で朗らかで、私を愛していた。半玄人でワンサ女優のエルザ、数多い父の女友達の1人。こういう友が、父に必要だということは、私はよく解っていた。海での最初の日、私は若い法科の学生フィリップ(ジョフリー・ホーン)と知りあった。私たちが海辺で最初の接吻をかわした日、母の友達だった、デザイナーのアンヌ・ラルサン(デボラ・カー)がやってきた。優雅な、洗練された、夫と離婚した中年の彼女。私たちの気楽な生活が、彼女の出現によって終わりそうなことを私は直感した。エルザが共に居ることを怒った彼女も、結局は私たちといっしょにくらすことになった。しかし、父とアンヌはだんだん親密になり、エルザと私は孤独になっていった。私にはまだフィリップがいたけれど、エルザがまず我慢出来なくなった。カジノに行った夜。消えてしまった父とアンヌを探して、2人の囁きを暗闇の自動車の中に私が聞いた夜。エルザは私たちの所へ帰って来なかった。翌朝、父はアンヌとの結婚を打明けて私に賛成を求めた。中年の、恋を得た女性の美しさ。それが私にはねたましかった。海辺のパラソルの下で、私はフィリップと激しい接吻に身をまかせた。それを、アンヌが見たのだ。激しい叱責、勉強のこと、フィリップと会ってはならぬこと、将来のこと等々。けれど、私はもう子供じゃないのだ。父をかえ、私までかえようとするアンヌ、大嫌いな女。私は彼女の詰問にあって、夜の部屋をとび出した。裸で眠っていたフィリップの部屋で、私は初めて彼の激しい愛撫におぼれた。私は復讐の片棒をエルザにかつがせた。フィリップと彼女の連れだった姿を見せつけて、父の嫉妬をかきたてようというのだ。計画はやがて実を結んだ。その日の昼すぎ、父は人に会うのだと外出した。やがて散歩に出たアンヌのあとを私はつけた。そして、木陰で聞いた父とエルザの忍び笑い。アンヌは家の方に向かって走った。彼女は涙を流していた。そんな彼女を、今までどうして私は想像しえたろう。待って、アンヌ、許して--すがる私に、彼女は接吻して、自動車を猛烈なスピードでスタートさせ、走り去った。自動車が崖から落ちて、彼女が死んだことが知らされたのはその日の午後だった。この夏7回目の運転事故として。--エルザは南米に行き、フィリップとは葬式以来会っていない。残った父と私。あの時から、どの日も私にとって暗い。夢の中でアンヌを呼び、また意味のない1日を迎えようとする朝、私はつぶやく、悲しみよ、こんにちはと。
主題歌 : 「悲しみよこんにちは」 by ジュリエット・グレコ
スタッフ : 監督 : オットー・プレミンジャー
製作 : オットー・プレミンジャー
原作 : フランソワーズ・サガン
脚色 : アーサー・ローレンツ
撮影 : ジョルジュ・ペリナール
音楽 : ジョルジュ・オーリック
美術 : レイ・シム
編集 : ヘルガ・クランストン
キャスト : アン・ラーソン :
デボラ・カーレイモンド :
デイヴィッド・ニーヴンセシール :
ジーン・セバーグエルザ :
ミレーヌ・ドモンジョフィリップ :
ジェフリー・ホーン自分自身 :
ジュリエット・グレコパブロ :
ワルター・キアーリロンバード夫人 :
ジーン・ケントフィリップの母 :
Martia Huntジャック :
デイヴィッド・オックスレイデニス :
エルガ・アンデルセン