蒼色の月明かりの下で

『 アラバマ物語 』
原題 ： To Kill a Mockingbird
製作 ： 1962年
製作国 ： アメリカ

ピューリッツア賞を獲得したハーパー・リーの小説「ものまね鳥を殺すには」を原作とした社会ドラマ。
1932年、アメリカは不況のドン底だった。アラバマ州メイコムという小さな町に、男やもめの弁護士アティカス（グレゴリー・ペック）は住んでいた。家族は彼と幼い子供たち、息子のジェム（フィリップ・アルフォード）、娘のスカウト（メアリー・バーダム）、それに家事全体を切りもりしている家政婦の4人だった。一家は静かな幸福な日々を送っていた。近所には狂ったブー・ラドレーが父に監禁されていた。ある日、農夫ボブが、娘が黒人の作男トムに強姦されたと保安官に訴えた。判事は罪を否認するトムの弁護人に、アティカスを指名した。町の人々は黒人を弁護したらただではすまぬと、アティカスに警告した。アティカスは不正と偏見を嫌い、何よりも正義を重んじる男だった。ジェムとスカウトは、気狂いのブーを見ようとラドレー家へ忍び込んだ。しかしブーに発見され逃げ帰った。そのうちにスカウトとジェム宛ての贈物が、ラドレー家の前の木の穴に置かれるようになった。このようにして月日は過ぎていった。危害を避けるため、ほかの町の留置場に入れられていたトムはメイコムに戻された。いよいよ裁判の当日。アティカスは必死の弁護を行って被告の無罪を主張したが、陪審員は有罪と決定した。アティカスには、控訴審で判決をくつがえす自信があったが、トムが脱走してしまい殺された。トムの家族にこのことを知らせに行った帰り、アティカスはボブに会った。ボブは彼に必ず裁判の仕返しをすると言うのだった。スカウトの学校で学芸会が催された。その帰りの夜道でジェムとスカウトは、ラドレー家の附近で何者かに襲われた。そこへ突然、第2の人影が現れ、襲った男をつかまえた。襲ったのはやはりボブだった。彼は胸にナイフを刺して死んでいた。2人を助けてくれたのは、ブー・ラドレーだった。ブーの行動は明らかに正当防衛だった。スカウトはブーを連れてきてジェムに合わせ、それから白髪の彼をもとの隠れ場所へと送っていった。ふたたびアティカス一家の平和な生活が始まった。



スタッフ ：
監督 ： ロバート・マリガン
脚色 ： ホートン・フート
原作 ： ハーバー・リー
製作 ： アラン・Ｊ・パクラ
撮影 ： ラッセル・ハーラン
美術 ： アレクサンダー・ゴリッツェン、ヘンリー・バムステッド
セット ： オリーバー・エマート
音楽 ： エルマー・バーンスタイン
録音 ： ウォールドン・Ｏ・ワトソン、コーソン・ジョウェット
衣装 ： ローズマリー・オデール

キャスト ：
アティカス・フィンチ ： グレゴリー・ペック　(アカデミー主演男優賞受賞)
スカウト ： メアリー・バダム
ジェム ： フィリップ・アルフォード
ディル ： ジョン・メグナ
アーサー・ラドリー ： ロバート・デュヴァル
ヘック・テイト ： フランク・オーヴァートン
モーディ・アトキンソン ： ローズマリー・マーフィ
トム・ロビンソン ： ブロック・ピーターズ
メイエラ・ユーエル ： コリン・ウィルコックス
ボブ・ユーエル ： ジェームス・アンダーソン
キャル ： エステル・エヴァンス
デュボース夫人 ： ルース・ホワイト
ジーン・ルイーズ（語り） ： キム・スタンリー